〝カンペキ〟を目指さない、抜け感のあるパーティが歓迎される

「自分の家でパーティをするなんて…、とてもじゃないけど無理だわ〜」なんておっしゃる方に、案外共通している点ってなんだと思いますか?

それはね…、「完璧主義」ってことなんですよ!

意外に思われる方もあるかもしれません。「完璧主義ならむしろ、どんどんパーティとか企画してお客様を呼びそうなものなのに…」、そんなふうにも考えられますよね?

ちょっと特殊なケースかもしれないですが、私の知人の話を聞いてください。彼女、仮にMさんとしておきましょう。Mさんは、昔から、ものすごくキレイ好きだということで、あるとき、仲間うちで、いつもお部屋をキレイにされていて、早朝からでも、「お茶飲みにいらっしゃいな」と声をかけてくれるとても気さくなママのお家に、Mさんを含む数人がお招きされたんです。

インテリアもステキですし、雑然と散らかったものなど一切なくて、床はピカピカ、お掃除ももちろん行き届いています。招かれた人たちはみな一斉に、「わー!すごーい!きれーい!」と賞賛の眼差しです。ところが…。Mさんただひとりが、賞賛の眼差しとは無縁で、実に冷徹に、「窓の桟にホコリが溜まってる。拭いておいた方がいいよ」と言ったんだそうです。

Mさんの発言に周囲は一瞬にして凍りついてしまったのですが、そこはさすが、お客様を呼び慣れている、人間のできた気さくなママ、「あら、ま、本当?気づいてくださってありがとう」とお礼を述べました。さらに、「よかったらこれで拭いてくださる?」とMさんに雑巾を手渡したそうです。そうしたら、Mさん、実に嬉々として雑巾を受け取り、桟をキレイに雑巾で拭いてくださったそうです。それで、居合わせた人々も一斉にほぐれて、「そうか、Mさんが来て、なにか部屋の汚さなど指摘されたら、キレイにしてもらえばいいんだ!」と納得したんだとか…。

さて、そんなMさんに対し、「本当にそれほど部屋はキレイなのか?」と疑いの目を向けた人が数名。…そりゃ、そうですよね。他人の家で、汚れを堂々指摘するなど、どう考えてもちょっと失礼な発言です。で、何人かがMさん宅に遊びに行ったところ、「本当にものすご〜くきれいだった!」と言ったんだそうです。なんでも、朝イチで部屋中の掃除を済ませたあと、ベランダをデッキブラシで磨き、窓ガラスもすべて拭き取るのだとか。なんと一週間に一度は、高圧洗浄機を利用するという徹底ぶり!

でも、Mさん、こうも公言して憚らないそうです。「お客を呼ぶのはあまり好きじゃないの。とくに子ども連れはイヤ。部屋が汚れるから」。

その話を聞き、私はハタと膝を打ちました。ライターをしている友人なのですが、その家はいつも散らかり放題なのです。掃除、洗濯、片付け、すべてが苦手で、同様にそれらが苦手な私ですら、手伝ってあげたい、と思うほどの部屋の荒れぶりなのです。ところが、彼女は大の来客好き。その状態でも平気でお客を何人も呼ぶのです。呼ばれたお客は、「汚いなあ!」などと言いながらも、結構楽しそう。それを見ていて、私もそんなものなのか…、と思ったのです。

ものすご〜くキレイな家に呼ばれたら、できる限り、汚さないように…、なんて気を遣ってしまい、くつろげないかもしれません。ちょっと抜け感がある方が、楽しく心地よい時間を過ごせそうですよね?カンペキなど目指す必要は一切ないんです。抜け感のあるお部屋に、どんどん人を呼んで楽しみましょう!