料理の好き嫌いに配慮するより〝選んでもらう〟スタイルで気楽に

友人を家に招く際、「好き嫌いはない?」と尋ねていました。好き嫌いがほとんどない、なんでもおいしく「いただける、という人もいれば、食べられないものだらけで、一体なにを食べて生きているの?どうやってそこまで大きくなったの?なんて思わず聞き返したくなるような人も中にはいました。

若い頃、とても親しかった幼なじみの友人は、とくに好き嫌いがひどくて、まず野菜が食べられない。その上で、肉と魚がダメ。「全部じゃん!」と私は叫んでしまいましたが、彼女曰く、「肉にくした肉、魚さかなした魚がダメなので加工品はOK!とのこと。つまり、肉の加工品であるハム、ウインナーなどはOK。しかし、ベーコンや生ハムは「肉っぽいからダメ」。魚は刺身や煮物、焼き魚はNGだけれど、ツナ缶は好物。かまぼこや、でんぶも嫌いじゃないとのこと。他にも、たんぱく質なら、納豆や豆腐が食べられるし、野菜のビタミンはジュースや果物で補う。「野菜の中でも、野菜やさいしてない、カボチャ、サツマイモの甘く煮たのとかは、お菓子みたいで好き」なので、カロチンも摂れているらしい。

共通の友人は、彼女を招く際、お料理づくりに四苦八苦していましたが、私はおにぎりやパンをそのまんま、ドン!と置いてあげていました。私のつくった料理の中でも、「ベーコンナシのカルボナーラ」(ただのクリームスパゲティ)はとくに彼女のお気に召してくれたので、リクエストされるたびにつくっていました。

ひとりだけ、家にお呼びするならば、好き嫌いなどは聞いておいた方がいいと思います。ただ、大勢が集まるパーティの場合は、そのひとりのためにメニューを偏ったものにはできないですよね?ですから、好きなものを好きなように選んでもらう方式がよいのでは、と思います。彼女がカルボナーラを食べられるようになったのも、彼女好みの「なにも入ってない」シンプルなペペロンチーノの他に、カルボナーラを用意していたのですが、その日はベーコンの分量が少なく、それを隠すためにあえて、希少価値のベーコンを上の方にこれみよがしに置いておいたため、取り分ける際、もちろん上から分けたため、ベーコン部分がなくなってしまったのです。それで、彼女は、「肉にくしいベーコンが乗ってない、このパスタ、なんだか食べられそう!」となって、実際食してみたら、「美味しい!また是非つくって。ベーコンナシで!」ということになったのでした。

肉が嫌いだったら、肉のエキスや残り香もダメ!というような気がしますが、彼女の場合は、「ベーコンの肉にくしさ」がダメなだけで、ベーコンの匂いなどはけっして嫌いではないのです。ある意味、イメージによる、食わず嫌いの一種なのかもしれませんね。

好き嫌いのある人がパーティに参加しているかもしれない、そんなときのパーティは、いろいろ選べるようにしておくのがオススメ。パスタだったら、パスタを大量に茹でて、オリーブオイルをからめ、塩コショーも軽くしておきます。トマトソース、カルボナーラソース、タラコ、ツナとマヨネーズを和えたツナサラダ風など、各種ソースを用意し、好きなものをかけて食べてもらうようにする。みんなが食べているのをみると、食わず嫌いの人も、「この味にもチャレンジしてみようかな」と好奇心が湧いて来て、好き嫌い克服のチャンスとなるかもしれません。